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「1番」は「×」 新人漫才コンテスト「不吉ジンクス」の“理由”

「1番」は「×」 新人漫才コンテスト「不吉ジンクス」の“理由”

産経新聞2月24日(日)16時35分
画像:ytv漫才新人賞決定戦に出場する若手6組。トップバッターが決まった学天即(後列右から3、4人目)は不利をどう克服する!?
 
ytv漫才新人賞決定戦に出場する若手6組。トップバッターが決まった学天即(後列右から3、4人目)は不利をどう克服する!?

 今年も新人漫才賞レースが佳境に入った。来月1日の「NHK上方漫才コンテスト」、3日の「ytv漫才新人賞決定戦」、4月には「上方漫才大賞(新人賞)」が行われる予定。そんな中、出場者が神経を使うのが出場順の抽選。最も避けたいのはもちろん「1番」だ。演者の誰もが忌み嫌う理由とは?(豊田昌継)

■クジでライバルから野次

 15日に大阪市内で行われた「ytv−」の抽選会。出場6組の中から「1番」を引いたお笑いコンビ・学天即は「この時点で“記念受験”になりました」(奥田)、「もう1回(くじを)引きましょか?」(四条)と、笑いに紛らせつつ顔を曇らせた。

 やはり6組をA・Bブロックに分けて勝ち上がりが優勝を競う「NHK−」でも、出場者が抽選箱へ手を入れるたびに、ライバルから「(トップの)A−1(番)取れよ!」の声。結果はウーマンラッシュアワー(以下、ウーマン)が引いた。

 実際、昨年のytv(8組出場)では1番のウーマンが4位で、優勝はラストに登場したモンスターエンジン。NHKは、「A−1」の天竺鼠、「B−1」ともウーマンも最終決戦に残れなかった。

 こうした傾向は、上方漫才大賞新人賞(出場5組)でも過去5年の優勝者の出演順が、昨年のプラスマイナスの4番をはじめ、3→4→3→4番。1月開催の「新進落語家競演会」(出場8人)でも、今年はトップの桂さん吉が6位で、7番目に登場した笑福亭鉄瓶が優勝。昨年トップの笑福亭由瓶もふるわず、4番目の桂吉坊が栄冠に輝くなど、中盤以降に出演する演者が好成績を挙げる。

■客席“温まり”が左右

 理由について、演者や経験者の話を総合すると、本人の緊張ももちろん、大きな要因として「客席が温まっていない」、つまり、客の笑う準備ができていない点をあげる。演芸の賞レースで「客のウケ」は採点の大きな要素。ダークホースが客席の盛り上がりを味方に、勢いで優勝をさらう例も珍しくない。さらに「同じウケ方でも、後に出た方が客席や審査員にインパクトがある気がする」(中堅漫才師)という“採点競技”ならではの声もある。

 これに対し、ytv新人漫才賞の統括プロデューサーは「(本番前に会場を盛り上げる)“前説”を実力のある若手にやってもらって、トップが不利にならないよう工夫している」。NHK担当者も「課題ではあるが、順番がある以上は仕方がない。前説を多く入れすぎても、後半に客席がダレるし、そのあたりは難しい」と話す。

■運も実力のうち?

 「ABC漫才グランプリ」や「MBS新世代漫才アワード」などのように、準決勝や決勝1回戦の成績順に、自動的に下位から先に登場させる例もある。だが「参加人数や、得点制などの選出方法がそれぞれで違い、一概に当てはめるのは難しい」(某局制作担当者)という。

 ならば「1番」に、得点をプラスαするなどのインセンティブを与えておくのも手かも。「運も実力」とはいえ、学天即とウーマンには“逆境”をはね返してほしい。